鹿児島の家、新築・リフォーム応援サイト!

人生100年時代の住まい方 〜快適に住み継ぐためのヒント〜Vol.4

2020年9月4日
※本特集は「幸せな家づくり」2020Spring・Summerに掲載された巻頭特集を再録したものです
住宅の平均築後年数がイギリス77年、アメリカ55年に対し、日本は30年といわれます。できれば、「いいものを造り、きちんと手入れをして長く大切に使う」│そんな、ストック活用型社会を迎える中、快適に住み継ぐためのヒントを、建築に携わる5人の専門家に聞きました。これからの住まい方の参考にしてみませんか。

▲株式会社インテルド 代表取締役 岩切 克尚さん

キッチンリフォームで水回りを快適に!
オーダーするときは、使いやすさを優先して

「さすがに水回りを100年もたせるのは難しいでしょうね。水回りが先に傷むから」。そう話すのは、オーダーキッチンや造作家具を受注・製造・販売するインテルド代表の岩切克尚さん。
キッチンはシンプルな機能のものを勧めたいそうですが、2年前の施工例では、「換気扇が目立つのが嫌だから昇降式換気扇にしたい、という注文を受けました。特殊な機器なので、もし動作に不具合が生じても対応が遅くなるということを納得してもらった上で取り付けました」。フルオーダーのキッチンになると、水洗金具や食洗器はメーカー品を組み込むことになります。
「キッチンの高さは850㎜が基本になっています。以前は800㎜でしたが、今では900㎜も増えてきました。既製品のキッチンでしかできないこともあるけれど、オーダーキッチンは使う人に合わせて部材を組み合わせる楽しみが造る側にもあります」
ただし、次のような失敗もあったそう。
「高齢の方にキッチンの高さが850㎜だけどいいか確認したところ、はいと言われるのでそのまま施工したんです。後日様子を見に行ったら小さな踏み台を使っていらっしゃった。昇降が危なそうなので、安定した踏み台を用意してあげたんですが、高齢者は面倒くさくなると、〝はいはい〞と言ってしまう傾向がありますね」
また、別の例では、「高齢のお母さんが火の始末を忘れないように、と息子さんが調理器をIHに替えてあげたんです。ところが、〝使い方が分からんかったから、2日間ごはんを食べていない〞と言われてびっくりしたそうです。健康に関わることなので、使いやすさは注意しなければならない点です」。
キッチン回りで気を付けたいことの一つに、冷蔵庫の設置位置もあります。「両開きの扉は、左右どちらかが大きくなっています。右の扉が大きいことが多いと思います。寄せる方向で使いにくい場合もあるので、配置を考えたいですね」
キッチンリフォームは、年数のたった物件だけとは限りません。「新築分譲マンションを購入して、すぐにキッチンをリフォームする方もいます。どうしても自分の好みの機器に入れ替えたいとか、中には、仕様変更の時期を過ぎて申し込んだので、間仕切り壁も取り払ってLDKを広く見せたいという依頼もあります」
戸建て、マンションにかかわらず、使いやすさを優先した快適空間を手に入れることが、長く住み継ぐ秘策のよう。

▲オーダーキッチンと造作の仕切り壁の色を合わせて統一感のある空間にリフォーム