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※本特集は「幸せな家づくり」2016Spring・Summerに掲載された巻頭特集を再録したものです
「ペットと飼い主には、すれ違いもあると感じています。獣医師として、人と動物との架け橋になりたい」と話す濵﨑菜央先生。クリニックでは、「こんにちは。ル・オーナペットクリニックです」と上手におしゃべりするセキセイインコをはじめ、犬、猫、ウサギ、そしてウーパールーパーと、にぎやかな動物たちと一緒に働いています。
昔は犬や猫は6、7歳で亡くなるのが普通でしたが、最近は犬猫共に平均15歳くらい。犬は16〜17歳、猫は18〜19歳で、人の80〜90歳に当たるハードルがあります。今や人と同じく、ペットも長寿。健康で一緒にいられたら、人もペットもハッピーです。
そのために気を付けたい4つのポイントをご紹介しましょう。
犬にも猫にも水分は必要ですが、特に猫は腎臓が弱い生き物なので、水分を切らさない配慮をしてあげましょう。彼らのふるさとは砂漠です。それゆえ水のキラキラしたきらめきにはとっても魅力を感じるよう。植物についたしずくも大好き。暑い時期には、ガラスの器に冷水を注いでやると、水滴ができて大喜び。流れる水も大好きです。
若い子は身体を大きくし、筋肉を作る必要から、たんぱく質が多く、カロリーも高めな食事が必要ですが、半年を過ぎると成長期は終わります。それ以降は、カロリーは落としていきます。頑張ったご褒美に、おやつが有効な場合もありますが、おやつはカロリーが高めなので、要注意です。
こんなにかわいがっているのに、コミュニケーション不足だなんて…と思うかもしれませんが、スマホやテレビを見ながらケアしたり遊んでやったり、向き合わないコミュニケーションは、問題行動の引き金に。まるで人間の子どもと同じですね。コミュニケーション不足が原因で、犬は夜鳴きをすることもあります。
ただ、犬と一緒に寝る習慣はお勧めしません。飼い主との上下関係が逆転し、友達感覚になってしまうのです。その結果、言うことを聞かず、散歩の際に、飼い主が引っ張られるようなことにも。絆を作ることと友達になることは違うと心得ましょう。
身体のゆがみが原因で身体を痛めることも。医師が見ると一目瞭然ですが、筋肉の使い方にはクセがあり、それがゆがみを生みます。犬用のバランスボールを使うなど筋肉トレーニングで改善することができます。
▲生まれて数週間で保護された子猫たち。あどけない姿が責任を持って飼う大切さを教えてくれます。
6〜7歳になるとシニア期に入り、身体にはさまざまな変化が。以前のようにはできないことが不安だったり、はがゆかったり。中には心臓や脳などに疾患を抱える子も。濵﨑先生は、各地でシニア犬セミナーを開催。「動物の様子をよく観察して、手助けをしてあげて」と話します。
シニア期で顕著なのは、時間の感覚がずれてくること。その結果、昼夜が逆転し、認知症的な症状が出ることも。防ぐには明るさを感じさせてあげるのがお勧めです。縁側で日なたぼっこの時間をつくったり、窓を開けたり、散歩したり。風や草花の匂いを嗅ぎ、今は昼だということを実感させてあげましょう。亜麻仁油やエゴマなどを使って改善を図ることもあります。
若いうちは簡単に上がっていた段差も上がれなくなります。猫はそうなったとしても、高いところが大好き。上がれないなと気付いたら、ダンボールなどを置いて、段を上がりやすくしてあげる、そんなちょっとした手助けをしてあげましょう。
犬や猫の中には、飼い主が病を患うと、それと同じ病気を患う子もいるのだとか。それほどまでに飼い主に心を寄せるペットたち。その声無き声に、耳を澄まして過ごせるといいですね。
人間と同じで、年を重ねると、表情が硬くなりがち。それは、表情筋が動いていないから。
ほっぺをつかんで、両サイドにビヨーンと引っぱって表情筋を刺激。これで食べやすくなり、食欲も増します。食事の前に試してみて。
なんだか元気がないな、と思ったら、頭のツボを刺激。まずは、頭頂部を両手で縦に、つまむように持ち上げます。次に、それと交差して十文字を描くよう、横につまみ上げます。元気がアップするだけでなく、老化防止にも役立ちます。
▲1.ちょうど両耳の下に当たる首の部分を軽く圧します。
▲2.腋の下のへこんだ部分を、人差し指と中指で軽く圧します。
▲3.後ろ足の付け根のY字になった部分をつまむように圧します。
▲4.ひざの後ろを人差し指と親指でつまむように圧します。
▲5.最後に、頭から背中にかけて、全身をなでて、おしまいです。
リンパ節のある箇所を軽い力で5回ほど圧してマッサージ。親指と人差し指で挟むようにするとやりやすいでしょう。力加減がわからないときは、キッチンスケールなどを指で圧し、200gになる力を確認してみて。
最初は嫌がるかもしれませんが、だんだんと慣れてきます。尻尾や鼻先など先端を触られるのは苦手なので、背中から頭へといった具合に、これからマッサージが始まりますよ、という合図を送ってあげましょう。触られることに慣れると、爪切りや歯みがきなどのケアもさせてくれるようになりますよ。
『えきもん』のツボは、前足の薬指と小指の間の付け根部分に。親指と人差し指で挟んで刺激すると、交感神経が抑えられ、リラックスします。
最近は、ペットは人間を慰めてくれるだけでなく、いわば伴侶のような存在、と考え、〝ペット〞に代えて〝コンパニオンアニマル〞と呼ぶ人たちも出てきています。その一方で、人間の都合で放棄されるペットが少なくないのも事実。また、大切な存在だからこそ、失う悲しみも大きく、ペットロスの辛さを感じる人も少なくありません。私たちがペットについて知らなければならないことは、まだまだたくさんあるのでしょう。
人に寄り添い、一瞬一瞬を懸命に生きているペットたち。人もペットも癒やされる、そんな家で、温かい時間を過ごせたら幸せですね。