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【吉松こころの住まいの心得】ホームインスペクションで 中古住宅の品質確認&購入判断を!

2021年8月6日

中古住宅探しに「住宅診断」の活用を

 ホームインスペクションとは、「住宅」を意味するホームと「調査」や「検査」を意味するインスペクションが合わさった言葉で、「建物状況調査」や「住宅診断」と言われます。主に、中古住宅の売買契約前に行われ、基礎や外壁に生じたひび割れや雨漏り、劣化、不具合の有無を、専門資格を持った第三者が点検する行為です。
 日本では、2018年の宅地建物取引業法(宅建業法)改正に伴い、インスペクションの活用を促し、その結果を説明したり、書面で交付したりするよう環境整備が行われました。
 実は、ホームインスペクションは、「人生で5回家を買い替える」と言われるほど中古住宅の流通が活発な欧米ではごくごく当たり前。しかし、「家は人生で一度の大きな買い物」「新築で買いたい」という考えが根強い日本では、馴染みが薄く、それほど普及してこなかったという経緯がありました。
 実際、国の調査によると、中古住宅を選択しなかったという消費者の多くが「隠れた不具合が心配だった」「耐震性や断熱性など品質が低そう」と回答しており、品質の不明瞭さが中古住宅購入のネックになっていることが分かります。このため、「インスペクションを実施することで、買う人も売る人も、安心して取引ができるようにしたい」という考えから、国も法整備を行ってホームインスペクションの普及を進めています。

▲建物状況調査済みだと売買の取引がしやすい

 では実際、どのような部位が、調査の対象となるのでしょう。
 戸建て住宅を例に取ると、①構造耐力上必要な部分として基礎、壁、柱等 ②雨水の浸入を防止する部分として屋根・外壁・開口部等が挙げられます。
こうした部位を調査することで、床下のシロアリや水漏れ、金物のズレやボルトのゆがみなども発見できるようになるわけです。
 中立な立場の専門家が公平な診断を行うことにより、売主側に修繕箇所を知らせることができますし、購入者側としても、「欠陥住宅」を買ってしまうリスクを避けられます。

 このようにいいことづくしのホームインスペクションですが、気をつけなければならない点もあります。それは、費用がかかること、ホームインスペクションを実施する専門家が経験豊富かどうか、また第三者とはいえ、売主側に近い会社の可能性もあること、などです。こうした点を見極めながら、中古住宅を賢く探す目を養いましょう。


執筆者: 吉松こころ
鹿児島県伊佐市出身。週刊全国賃貸住宅新聞を経て、2015年に株式会社「Hello News」を設立。不動産や建築の世界で、目立たずともたくましく生きる人々を取材しています。