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【8月のハウジングコラム】
CLTで木造中高層ビルの建築やプレファブリックハウスの提供が可能に

2020年8月1日

霧島市に本社を置くMEC  Industry(メック インダストリー)が8月7日、

森林資源活用につながるCLT(直交積層厚型パネル)の量産加工施設に着工。

湧水町の県立栗野工業高校跡地で、2021年4月の一部稼働を予定しています。

2022年には本社を同所に移し、本格的な操業に入る計画で、「新建材事業」と

「木プレファブリック事業」で、2032年には売上100億円を目指します。

湧水町の県立栗野工業高校跡地に建設されるMEC IndustryのCLT生産拠点(イメージ)

 

MEC Industry ってどんな会社?

三菱地所を中心に、竹中工務店、大豊建設、松尾建設、南国殖産、ケンテック、山佐木材の7社が出資して設立した会社です。RC(鉄筋コンクリート)造・S(鉄骨)造に、木(もく)を取り入れた「新建材」の供給と、プレファブ化による戸建住宅等の供給を行います。7社の強みを生かして、従来は分断されていた製造から販売までのビジネスフォローを統合し、低コストでユーザーのニーズに合った高品質な商品を供給するとしています。

左から4人目が、社長の森下喜隆さん

 

CLTって何? 集成材との違いは?

CLT(Cross Laminated Timber クロス ラミネーティッド ティンバー)は、板状に製材し乾燥させた木材を横に並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した大判パネルのこと。1995年頃からオーストリアを中心に発展してきた新しい構造材です。同社によると、繊維方向を直交方向に重ねて接着剤で一体化することで、断熱性能がRC(鉄筋コンクリート)の約13倍、軽量性がRCの約1/5になり、床や壁などの「面材」に適した構造材。集成材は、繊維方向を同じ向きに重ねて接着剤で一体化するもので、柱や梁(はり)などの「線材」に適した構造材です。

 

新建材事業と、そのメリットは?

RC造・S造に用いられる建材の一部を「木」に置き換えた新建材を開発・供給します。RC造・S造の建物に「木」の優れたデザイン性を提供するほか、建設時の施工負担低減で工期の短縮が期待されます。2021年4月には、新しい型枠材「配筋付型枠」(仮称)を発売する予定です。

【配筋付型枠(仮称)と天井施工イメージ】 

この新建材を採用予定のプロジェクトが、札幌市中央区で建設中のホテル計画「大通西1丁目プロジェクト」。3〜7階の客室内天井部に配筋付型枠(仮称)を採用予定です。工事工程の簡略化・短期化を図り、環境に配慮した客室内の木質化を可能にします。2021年夏竣工、同年秋のホテル開業を予定しているそうです。

 

木プレファブリック事業と、そのメリットは?

CLTパネルや集成材を使って、あらかじめ工場で作った部材を現場で組み立てる建築工法を用いて、高品質・ローコストな規格型の商品を開発・供給する事業です。従来に比べてシンプルな施工で建築現場の負担を少なくし、工期の短縮が可能です。100㎡の平屋戸建てを1000万円未満の価格で供給可能だとしています。

戸建ての内観イメージ

 

仮設住宅としての活用も

森下社長は、災害時の仮設住宅への活用について、「木プレファブリック事業は有効だと考えている。プレファブリケーションでモジュール化されているため、道路がつながっていればという条件付きだが、災害時に速やかに対応できる。どのくらいの数ができるかは検証が必要だが、仮設住宅では 木材であることの精神的なメリットも訴求できると考える」と話しています。

同社の伊藤副社長は、「100 ㎡の平屋戸建ては 12 個のパーツを組み立てている。それらを現地にストックしておけばすぐ組み立て可であることが大きな強みであると考える。8 ㎡ずつのユニットで段にしておけば、場所もあまり取らないので災害対策向けといえる」と付け加えます。

 

木の利用による森林の循環促進にも寄与

日本の森林面積は国土面積の3分の2にあたる約2500万haで、北欧のフィンランドに次ぐ世界有数の森林国だといわれます。その森林資源は現在約52億㎥とされ、毎年増加し、人工林の半数が主伐期の50年を超えているそうです。森林資源の活用を進めることで、「伐って、使って、植える」林業の循環ができ、森林の荒廃を防ぐだけでなく、木材産業の安定的な発展にも寄与できるといいます。

会社設立発表会の席で、三菱地所の吉田淳一執行役社長は同社の社名について、「Many Excelent Company」ともいえる、とにこやかな表情で挨拶していました。7社の叡智を結集した新規事業への期待が膨らみます。

MEC Industry 株式会社

霧島市国分野口東6-14(2022年春以降は、姶良郡湧水町木場3102)

TEL 0995-55-1586

https://www.mec-industry.com