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「法隆寺など神社仏閣の木のように、1000年かけて育った木は1000年以上持つことからすると、本来は、70年〜100年たった大きな杉の木、ヒノキが、高く取引されて当たり前なんだけど、市場のミスマッチで、高く取引されていない。あくまで理想論なんですけど」
かごしま地材地建グループの一員として、認証かごしま材の普及促進にも尽力している建築工房匠の福迫健さんは、こう現状を語ります。
「高齢級を使えば、より長く家は持つのかなという考え方はあるし、実際のところ、杉でも大きい柱になってくると中が赤身なので、赤身の材料はシロアリなどにも強いといわれてるんですよね」
飫肥杉を使った耐久材を販売し始めた会社もあるといいます。「かごしまの木であれ、何であれ、長い年月手入れされた本当にいい木材は、本来すごく長持ちする。木そのものは長持ちするけれど、経済活動の中で家屋は30年とか40年で壊すのがこれまでの流れになってきている」と惜しみます。
また、「コンクリート強度も、長期優良住宅で24KN、そこを30KNにすると100年持つというデー
タが明らかになってきています。そのことを知っている人もいるかもしれないけれど、多くの人はしっかり教わっていないので、使おうとしないし、踏み込んで話せない。鉄筋も量を倍にして強度を増す方がいいとか、コンクリートを肉厚にしないと内部が中性化されて鉄筋が爆裂を起こしてしまう、ということも分かっているはずです。でも、そうしないのは、安い方がいい、という考えが勝っているからです。長く持つものは素材が違うから当然高くなる、ということを伝え切れてないんだと思います」。
一方で、若い人は「バラエティーに富んだ色を非常に求めている」といいます。「少量多品種過ぎて、製造コストが上がる。絞り込めばもっとコストが下がると思うんですが」。さらに、「省令準耐火にしないと火災保険料が高いので、石こうボードをわざわざ下張りして余計なコストが掛かる。誰が決めたんでしょうねえ」
他にも現状に対するさまざまな思いはあるにせよ、これから家づくりを考える人に向けては、自立循環型の考えを伝えていきたい、と福迫さん。人生100年時代の家づくりのポイントをまとめると、「構造躯体・基礎をしっかりと」「環境や温暖化防止にもなる地域材の活用を」「しっかりとした断熱設計と適材を適所に」ということのよう。コストだけに走らず、長く住み継ぐ家づくりのヒントになればいいですね。