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この春から、新築住宅を建てる際のルールが大きく変わったことを知っていますか。今後は、快適な暮らしと光熱費の節約を両立する住まいが当たり前に。今回は一級建築士で住宅の建築確認や検査を行う〝住宅のプロ〟の岩切一樹さんに、「省エネ住宅」をテーマに話を聞きました。
※この記事はリビングかごしま2025年5月17日号を再編集したものです。なお、掲載内容は2025年5月現在のものです
脱炭素社会の実現に向けて、2025年4月から全ての新築住宅で「省エネ基準」を満たすことが義務化されました。「これからの家づくりは、間取りや立地だけでなく〝省エネ性能〟が重視される時代です。断熱性や気密性を高め、エネルギーを無駄なく使う性能を備えた家づくりが求められます」と鹿児島県住宅・建築総合センターの岩切一樹さん。
家計のランニングコストを抑えつつ、健康で快適に過ごせるのが省エネ住宅の大きな魅力。新築はもちろん、住み慣れた家をリフォームして、省エネ性能を高める人も増えています。
今回は、省エネ住宅の性能基準や仕組み、暮らしのメリットを紹介します。新築はもちろん、住み替えやリフォームを考える人も参考にしてみては。
「省エネ基準」とは、住宅がエネルギーを効率よく使えるかを示す、国の定めた性能基準。これまではオフィスビルや商業施設、ホテル等が対象でしたが、4月から全ての新築住宅も義務化されました。以下の2つの基準を満たす必要があります。
①住まいの熱を快適にコントロールできること(=外皮性能)
断熱の性能に関する基準。外気の温度を中に伝えず、中の熱を外に逃がさないように、屋根・外壁・窓などを断熱材や高断熱窓でくるんで魔法瓶のような構造にします。
②住まいのエネルギーを賢く使えること(=一次エネルギー消費量基準)
省エネ住宅は、地球環境に配慮しながら、快適な暮らしを実現する住まいです。夏は屋根や窓からの熱を遮り、冬は暖かい空気を逃さない高断熱・高気密の設計で、外気の影響を受けにくいのが特長。これらを支えるのが、断熱性・気密性の高い窓やサッシ、床・壁の断熱材など。さらに、省エネ効果の高い設備を取り入れることで、エネルギー消費を抑えることができます。
「省エネ住宅」は環境にも優しく、暮らしにもうれしいメリットがたくさん。
上記の基準を満たすように断熱性を高めた家は、冷暖房の効率が良くなり、室内の温度も年間を通して安定します。「性能の高い断熱材や窓、省エネ設備などが必要になるため建築コストは必然的に上がります。その分、月々の光熱費が抑えられ、長期的に見ると、コストパフォーマンスの良さを実感できます。長く住む家だからこそ、先を見据えた選択が大切です」と岩切さん。
さらに室温のムラが少ないため「体への負担が減り、家族の健康を守る効果も期待できます」と話します。
今回の省エネ基準適合の義務化は新築住宅が対象で、中古住宅の購入やリフォームには直接の影響はないようです。とはいえ、今住んでいる家でより快適に長く暮らすため、リフォーム時には、省エネの視点も取り入れたいところです。「まずは断熱性能を高めることが重要。窓や屋根など、熱の出入りが多い部分から手を入れると効果が実感しやすいですよ」と岩切さん。
以下、省エネリフォームの基礎知識や、国の支援制度(新築・リフォーム)について紹介します。
①断熱性能の向上
特に、熱の出入りの大きな窓やドアの断熱が重要。その次に屋根や床、壁の断熱を検討しましょう。
②省エネ設備の導入
断熱性能を高めた上で、省エネ効果のある冷暖房や給湯器などを導入すると効果を発揮。光熱費削減につながります。
国は住まいの省エネ化を支援する補助制度を強化中です。新築やリフォームの際、省エネ性能を高めることで工事費の一部が補助され、家づくりの強い味方に。詳細は下記からチェックして。
リフォーム
全ての世帯が対象。窓の断熱、断熱材の施工、エコ住宅設備設置など、省エネ性能を高める改修工事に対して、最大40万円~60万円を補助。※一部の改修はZEH水準に相当する省エネ性能以上の改修に限る
新築
子育て世帯等を対象にした省エネ性能の高いZEH水準等の住宅、さらに全ての世帯を対象にしたGX志向型住宅の新築を支援する制度。住宅の省エネ性能に応じて、最大40万円~160万円補助金を交付します。
リフォーム
既存の窓を高断熱仕様にリフォームする際、工事費の一部を補助する制度。工事の内容に応じて、最大200万円まで補助されます。