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特集・コラム

【流域と共にSumu(すむ)】vol.1 自然と建築との関係を育む

2024年1月18日

 Sumu Yakushimaは、「住めば住むほど、自然が澄んでいく」というコンセプトの下、自然と人間の共生を目指す実験的な宿泊施設です。〝雨の島〟ともいわれる特有の気候は、屋久杉をはじめとする豊かな自然環境を育んでいます。Sumuはこの豊かな自然を「さらに再生させる」リジェネラティブ(再生可能)な建築として、ありがたいことに国内外で15の賞を受賞し、世界中から注目されています。

 Sumuの特徴は、地面と建築の関わり方にあります。基礎には表面を炭化させた木杭を使用し、土中の菌糸の成長を促進させ周囲の樹木の根とつながることで地盤の強度を保ちます。また山から海へと続く水の循環を阻害しないため、高床式構造を採用。風が通り抜けて湿気対策にも最適です。周囲の樹木を土壌の状態から健全に保つことで自然環境と共生しより豊かな状態に育むことができます。

▲Sumu Yakushima。ウエブサイトhttps://www.to-no.me/works/sumu-yakushima

 一方で建築手法だけにとどまらず、日々の生活がもっとも重要な要素だと考えています。山から海までつながる川の「流域」を一つの単位として捉え、その恵みを生かした住まい方を実践しています。まさに「住めば住むほど自然が澄んでいく」というSumuでの生活スタイルについては、次回詳しくお話しします。


執筆者:小野 司

tono代表。2020年、コロナを機に屋久島に移住後、完成させたSumu Yakushimaは国内外のアワードを多数受賞。自然の水や風の流れ、土中の菌も活用し、人にも自然にも優しいリジェネラティブな建築設計・デザインを得意とする〝菌築家〟