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Sumu Yakushimaでは、「住めば住むほど、自然が澄んでいく」というコンセプトの下、山から海に至る川の流域を一つの生活単位として捉えています。
一般的に言われている自然に優しい生き方はとにかく手間がかかり面倒くさいものです。なので、いかに楽しく続けていけるかが鍵だと思っています。
Sumuの上流に位置するポンカン・タンカン畑では、毎年枝の剪定(せんてい)作業が行われています。これは次の年により良い果実を成らせるために必要な作業です。私たちはこの落とした枝葉を農家さんから回収させていただき、無煙炭火器で炭を作ります。これを敷地内の畑や元気のない自然の土に混ぜ込むことで微生物を育て、より良い土づくりにつなげます。このように、恵みをいただくだけではなく自然環境にとってもプラスになるような循環をつくり出します。
▲剪定した枝葉で炭を作り、土に混ぜて野菜を育て、ピザの具にして食すことで、自然の循環を楽しみます(©satoshi nagare)
その畑で採れた野菜と枝を薪(まき)にして窯でピザを焼き、味付けは目の前の海でくんだ山の恵みたっぷりの〝海岸湧水〟を沸かして作ったお塩。もぎたてのタンカンが彩りを添えます。家族や仲間と楽しみながら共に作り、味わう料理は格別です。こうして日々の暮らしの中で自然に還元していくことが同時にできるのです。
執筆者:小野 司
tono代表。2020年、コロナを機に屋久島に移住後、完成させたSumu Yakushimaは国内外のアワードを多数受賞。自然の水や風の流れ、土中の菌も活用し、人にも自然にも優しいリジェネラティブな建築設計・デザインを得意とする〝菌築家〟